食中毒菌の性質と予防方法について

      2019/06/11

食中毒菌の性質と予防方法について

 

 

こんにちわ、料理研究家のキャンティ田村です。

真夏のように暑い日が続きましたが、それもすこし落ち着いてそろそろ梅雨に入ろうかという時期になってまいりました。

実はこの梅雨のジメジメした時期というのは真夏よりも遥かに食中毒の発生リスクが高いんですね。

食中毒菌は暖かくてジメジメした環境で活性化するので、まさに6月から7月はど真ん中ストライクといったところです。

そこで今回は「菌の特徴」「食中毒の症状」「食中毒を予防するためのポイント」を分かりやすくまとめました。

尚、飲食店関係者(特に調理に携わる人)は必ず知っておかなければならない知識です。

 

 

食中毒とは

食中毒とは、有毒な物質が含まれた食品や食中毒の原因菌が付着した食品を食べることによって、下痢や腹痛などの症状を発症することです。

食中毒の原因菌は1種類だけではなく、それぞれ住んでいる場所や発症する症状、対策方法が異なります。

食中毒を予防するためには、それぞれの菌の特徴を全て把握し、

「つけない・増やさない・やっつける」

という合言葉を実践することが不可欠です。

 

 

食中毒菌別の特徴と予防のポイント

それでは食中毒菌の特徴、症状、予防ポイントを菌別にご紹介していきます。

 

 

1.サルモネラ

鶏卵や食肉(特に鶏肉)が主な原因食品です。

家畜やペット、河川や下水にも分布しおり、少量菌数でも食中毒になります。

卵はよく知られていますが、日本で出回っている鶏卵はほぼサルモネラ菌の殺菌処理がされているのでさほど心配する必要はありません。生卵を食べることができるのはこのためです。

海外では鶏卵を生食するのは絶対に避けましょう。

主な症状は

高熱、頭痛、嘔吐、下痢、腹痛

5~72時間後に発症します。

 

予防ポイント

中心までしっかりと加熱調理し、食肉類の生食は避けてください。

鶏卵は冷蔵保存しましょう。

調理器具は常に清潔に保ちましょう。

 

 

2.黄色ブドウ球菌

ヒトや動物の化膿創、鼻、手指などに分布しているため、素手でにぎったおにぎりや手作りのお弁当で食中毒になることが多い。

調理する際には黄色ブドウ球菌がいる鼻や頭皮などを触らないように注意してください。

主な症状は

吐き気、嘔吐、下痢、腹痛

1~5時間後に発症します。

 

予防ポイント

調理前には十分手指を洗浄、消毒しましょう。

調理中には絶対に鼻などを触らないように意識してください。

手指にキズがある時には料理をしないかもしくは使い捨ての手袋を着用すること。

 

 

3.腸炎ビブリオ

魚介類に付着していることが多く、主に刺身などを食べることによって食中毒になる。

夏から秋に多発します。

塩分を好み、海水にはまず腸炎ビブリオがいると考えていいでしょう。

ただし、真水をかけることによって一瞬で死滅します。

主な症状は

嘔吐、下痢、腹痛、発熱

8~24時間後に発症します。

 

予防ポイント

魚介類を調理する際には真水でさっと洗う習慣をつけましょう。

刺身を作る際には刺身専用のまな板を使用し、常に清潔に保つようにしてください。

ご家庭ならば、刺身を切る前にはまな板をよく洗うこと。

 

 

4.カンピロバクター

食肉(主に鶏肉)を生で食べることによって食中毒となるケースが多い。

ペットを含むあらゆる動物に分布しており、少量の菌でも発症してしまう。

乾燥と熱に弱いのが特徴です。

日本の食中毒の中では最も発生件数が多く、乳幼児や老人では重症化する場合もあるので特に気を付けたい菌の一つです。

主な症状は

頭痛、下痢、腹痛、発熱

2~7日後に発症します。

 

予防ポイント

食肉類を決して生で食べないこと。

熱に弱いので中心まで十分な加熱調理を行ってください。(特にお子様が食べるときには気をつけて)

肉を切った際はすぐにまな板をきれいに洗いましょう。

 

 

5.ウェルシュ菌

土付き野菜、食肉加熱調理品に分布する。

酸素がなくても菌が増えるため、カレーやシチューを中途半端に加熱した際に増殖するケースが多い。

また、他の菌よりも熱に強いため対策が困難です。

45度の環境で最も菌が増殖するため、カレーなどを作ったら出来るだけ早く冷まして冷蔵庫に入れてください。

主な症状は

下痢、腹痛

6~24時間後に発症します。

 

予防ポイント

増やさないことに気をつかうのが最も有効な予防方法です。

調理後は早めに食べきる。(飲食店では特に気をつけたいですね)

加熱調理の後は短時間で冷却し、ウェルシュ菌の好きな環境を作らないように気をつけましょう。

調理の際も十分に加熱すること。

 

 

6.腸管出血性大腸菌

生肉、半生などの加熱不十分な肉が主な発生元。

有名なO-157などはこれにあたります。

少量の菌でも発症し、便からの2次感染が起こりやすいことから食中毒の中でも最も気をつけたい菌です。

乳幼児や老人は重症化しやすいので、提供する側は感染源にならないように気を付けなくてはなりません。

主な症状は

下痢、腹痛

12時間~8日後に発症します。

 

予防ポイント

熱に弱いという弱点があるので、やはり肉類は中心まで十分に加熱することが最善の予防策となります。

まな板などの調理器具も清潔に保つ必要があります。

二次感染を防ぐために十分に手洗いをすることも大切です。

 

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